ハーバード流 育脳ピアノレッスン 「大人における音楽の訓練、知能、実行機能の関連」

皆さんこんにちは。

台風の影響か急に”寒く”なりましたね。もう”涼しい”を通り越しています。

 

今日はいよいよ大人にとって音楽の訓練は知能にどう影響するか、などについてお話しします。

 

大人の知能

 

「大人における音楽の訓練、知能、実行機能について」

3つのグループのIQと実行機能を調査

 

1 ミュージシャン : 5年以上の音楽の訓練を受け、音楽アカデミーでの最終学位がある人、または演奏や音楽教育活動に

従事していて収入を得ている(楽器は不特定)

2 アマチュア : 5年以上の音楽の訓練を受けているが、ミュージシャンの条件に一致しない

3 非ミュージシャン : 音楽トレーニングが3年未満

 

音大に行って演奏家になった人たち101人が対象になっています。

楽器はあえていろんな楽器の演奏家を対象としたようです。

 

共通することは、音楽の訓練、音楽トレーニングを受けたかどうかです。

結果は!

 

「大人における音楽の訓練、知能、実行機能の関係について」

結論

  • ミュージシャンは4種類全部のIQテストで最高成績

  • 言語性IQ、動作性IQ、全IQ、補助IQ

  • 訓練期間が長いほど、IQへの良い影響がある

  • 実行機能テストも最高成績

  • 実行機能と音楽の訓練期間/時間は正比例

  • 音楽の訓練+他の専門分野がある人はより認知機能が高い

  • 「子供にも音楽のIQへの良い影響は現れる

 

どうやら、音楽の訓練、音楽のトレーニングを受けるとIQに良い結果が出るようです。

 

音楽トレーニングと認知発達の関連

Schellenberg(2004)では、144名の6歳の子供のアンサンブルのIQが

Wechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition(WISC-lll)によって

1年間の音楽または演劇クラスの前後に評価されました。

著者らは対照グループの子供たちのWISCスコアが大幅に改善され、それに加えて、

口頭理解や知覚的組織指数も向上しました。

 

(2011)Schellenberg では、9歳から12歳の106人の子供(半分は音楽的訓練を受け、半分は未訓練)が

Wechsler Abbreviate Scale of Intelligence(WASI) でテストされ、音楽グループのIQが非音楽グループより高いという

結果を得ました。

加えて、小児期の音楽トレーニングは、学業成績への良い影響(Schellenberg, 2006)と

言語関連能力の向上(Moreno,2009;Francois et al, 2013)が報告されています。

IQの種類

 

IQには色々なものがあります。

「言語IQ」とは、「耳で聞いた情報を処理する能力や言葉を使って考え、表現する能力」を示すIQです。

「動作性IQ」とは、「目で見た情報を処理する能力、非言語的な知識や空間的な動きを把握する能力」を示す。

「全検査IQ」とは、「言語性IQ」と「動作性IQ」から算出される総合的な知的発達の水準を示す IQです。

そして、WMIとは)ワーキングメモリ(working memory) :作業記憶、作動記憶そして注意力です。

その結果、その全てで演奏家グループは、最高成績だったそうです。

 

ハーバード大学子供発達センター

 

ハーバード大学子供発達センターの動画によりますと、

私たちには、繰り返し練習することで身につくコアな力が必要なのです。

科学的にはこのスキルは、実行機能または自己制御能力と呼ばれ、重要なことに集中し計画を立て、

目標を達成することを助けてくれます。

→ ピアノレッスンでは楽しみながら繰り返し練習していきます。

これによって私たちは生活で起こる様々なことに対応しながら間違うことなく、生きていくことができるのです。

またこのスキルは私たちの衝動的な行動を抑え、必要な時に方向性を正してくれます。

→ 曲を仕上げるまでの忍耐が育ちます。

幼少期を通して複雑な神経回路が構築され、脳の様々な領域に広がくことにより、私たちのコアなる力が

発揮できるようになります。

使えば使うほど神経のつながりは協力で迅速なものになります。だから練習がとても大切なのです。

→ 音楽トレーニングで脳の構造が変わります。

子供の時にコアとなる力を身につけることはその後の人生に強固な基礎を与えてくれます。

以上がハーバード大学子供発達センターのものです。

 

まとめ

 

論文の翻訳を引用しますと(翻訳:バイオラ大学 ピアノ教育学講師 河村まなみ先生)

 

音楽トレーニングは、複数の認知機能と基礎となるニューラルネットワーク(神経回路網)

を利用する多感覚体験です。

実際、ポリフォニックな音楽を聞いたり、理解したり、演奏したりするには、音とリズムの同時処理、

高次の知覚処理、細かい感覚運動が全て総合的に、同時に、スムーズに行われることが必要です。

長期的な音楽トレーニングは、これら全ての機能を日常的にとりいれてトレーニングするため、

ミュージシャンは音楽関連の能力だけでなく、関連脳作用全般のスキルも向上させるようです。

従って、ミュージシャンは音楽の複雑な規則性と非規則性などを感知する聴覚と生産能力に優れているということ

がわかっています。

 

ぜひ、お子さんにピアノで繰り返し練習することで身につくコアな力を

やりたくないことをする力」をも、身につけてさせてあげてください。

今日は少し長くなりましたが、何故ピアノが良いのか、ということについて

自信を持ってご紹介できたと思います。

 

ではまた。