皆さん、こんにちは。
今まで何度かに分けて音楽に関する論文をお話ししてきました。
今日は、日常においての音楽の影響などについてお話ししたいと思います。
音楽の影響
音楽の影響で考えられがちなことは、「音楽の環境が良い」「親が高学歴である」などの
優位性ですね。
環境説としては、
ピアノを習える家庭は、
- 親の収入が高い
- 環境が良い
- 教育費もかけてもらえる
- 親が教育熱心
だから、子供の頭が良くなるのでは?
遺伝子説
ピアノを習える家庭は
- 高学歴な親が多い
- 遺伝子的な問題
だから、子供の頭が良くなるのでは?
では反対に、環境に恵まれず、低収入、低学歴といった場合はどうなのか?
まさに音楽は
こうした親の優位性にも負けない影響力があったという証明がなされました。
それを今まで論文を交えてお話ししてきたわけです。
エル・システマジャパン
南米ベネズエラでホセ・アントニオ・アブレウ博士によって始められた社会変革を
目指した音楽教育を「エル・システマ」と言います。
家庭の経済状況にもかかわらず、全ての子が無償で集団での音楽教育が受けられる仕組みが原点です。
子供たちが自ら、協調性や、規律を学びながら、目標に積極的に取り組んでいく姿勢を
育んでいくことによって、希望や誇りを持てることを目的としています。
この活動は世界的に活躍する、若手指揮者グスターボ・ドゥダメルなど多くの一流音楽家を
排出しているだけでなく、子供たちを犯罪や暴力から守り、学業面も含めてポジティブな影響を
与えてきていることで、ユネスコ、米州開銀等の外部機関からも評価されています。
2016年1月時点で、60位上の国と地域で展開しています。
私の住んでいる地域でも数年前に少年少女オーケストラが作られて、私のピアノ教室の
生徒さんも参加していました。
ここで実際にこのオーケストラに参加していた生徒さんたちのインタビューを
ご紹介します。
オーケストラに参加して
ユース・オーケストラ・ロサンゼルス
「私はオーケストラで演奏している時が一番好きです。
自分と仲間が一緒になって素晴らしい音楽を作り出せるからです。
その時には明日の食べ物や、今晩の宿題などの心配を忘れて、自分が弾く
一つ一つの音に集中して、それぞれの音をとうして物語を紡いでいきます。」
「違う楽器が一緒に練習し演奏するという過程は、人生そのものではないかと思います。」
「私達は、何もないところから来て、何もできないと思われているけど、とても美しいものを
創り出しています。誰でも一生懸命努力して目標に向かっていけば、私たちの様にできると思います。」
「クラシック音楽は、私が知らなかった私を見つけさせてくれた。また新しい視点もくれました。
クラシック音楽の世界はとても美しく、それゆえこの世界も美しいと思えます。」
などなど、子供とは思えない感想がたくさんあります。
音楽があれば、人生は変えられる。
脳の構造の変化
音楽で脳の構造が変わる?
興味深い研究があります。
まずは、聴覚が変化します。当然ですが、音楽を演奏しますので。
聴覚が優れていると、クラスがガヤガヤしていても、先生のお話を正確に聞き取れる様になり、
言葉の習得も早くなり、言葉を理解する力、コミュニケーション能力が優れてくる。
さらに、脳構造が変わり、脳内で情報を早く大量に伝達できる。
すごいですね。
ぜひお子さんに音楽のトレーニングを受けさせて、ハイスペック脳を!
そして音楽で思いやりのある子・我慢強いが育つ本当の理由。
これは実際にピアノレッスンをしている私も感じることです。
思いやり、我慢強いに関しては、スポーツでも養われると思います。
ですがスポーツには常に、勝ち負けがありメンタルの強さが強調されますね。
音楽はまず音が出ます、その音にまず脳が癒され、やさしい気持ちになります。
そして曲を仕上げるまでの努力や忍耐は、多くの曲を弾いていくことで、自然と
養われます。
まとめ
論文の執筆者の一人である、ハビビ先生のインタビューでは
「音楽グループの社会適応能力、時に共感や思いやりの気持ちが高く、
他人の気持ちを理解して同じ気持ちになれる能力が高かった。
この能力は実行機能よりもさらに音楽的能力とはかけ離れていますが
グループで音楽を演奏する時に自分を制して周囲の音を聞き、また指揮者に注意をはらい、
その指示にしたがうなどの行動が、実際には意思決定能力や将来を考える計画性といった脳力まで
もやしなっている。」
また認知機能をうけもつ前頭葉も優れていた。
認知機能は、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力です。
ですから、認知症の患者さんは、感情をコントロールできず、辛抱もできません。
ぜひ、お子様に音楽を?
まだまだ続きます。
ではまた。